大判例

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名古屋地方裁判所 昭和27年(ワ)1630号 判決

原告 小島市株式会社

被告 株式会社下山商店訴訟承継人兼破産管財人 窪田徳次郎

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は「被告は原告に対し、一宮市伝馬通三丁目三番宅地四十五坪三合、同所同番地上建物木造瓦葺二階建居宅一戸建坪三十八坪六合五勺外二階坪三十八坪六合五勺延坪数七十七坪八合の所有権移転登記手続をなし、該建物を明渡せ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、

その請求原因として「原告は被告が破産管財人である訴外株式会社下山商店に対しその破産前である昭和二十七年五月六日名古屋法務局所属公証人松岡義彦作成第五万二千三百四十六号公正証書に基き金千五百万円を限度とする織物の売渡供給契約を締結した。而して同訴外人は右契約において右請求趣旨記載の物件をその他の物件と共に原告に担保として提供しその債務の弁済を履行しないときはこれを代物弁済として原告に所有権を移転する旨約していたのである。

右契約に基き同訴外人は昭和二十七年七月十六日に至り同訴外人の債務金千四百六十六万五百三十円の中金四百二十万円の代物弁済として前記請求趣旨記載の物件を原告に譲渡した。以上の次第で原告は右訴外人に対し請求趣旨記載の土地建物につき所有権移転登記を更に右建物につき明渡を請求する権限を有するが同訴外人は破産したので、その承継人である被告に本訴請求をなす次第である。」と陳述した。

被告訴訟代理人は請求棄却の判決を求め、答弁として、

「原告の請求原因事実中訴外株式会社の債務額が原告主張の如くである事実、代物弁済がなされた事実は否認する。尚本件各不動産移転については原告は対抗要件を具備していないし破産管財人である被告は登記の欠缺を主張し得る第三者であるから、たとえ原告主張の如き事実ありとするも、被告の請求は失当である。」旨のべた。

三、理  由

不動産の譲渡があつた後移転登記がなされない間に譲渡人が破産した場合においては、右不動産は破産財団に編入され破産管財人の管理処分に属し破産債権者全体のため差押えられたと同一の地位にあるから、譲受人は破産債権者に対しその譲受を対抗することはできず、従つて破産債権者の利益を代表する破産管財人にも対抗できないことは明である(債権譲渡に関する昭和八年十一月三十日大審院判決、判決集一二巻二七八一頁参照)。本件請求は、原告が破産宣告前の破産者より代物弁済により取得した不動産の所有権移転登記及び明渡を破産管財人に対し請求するものであることは、その主張自体より明白であるから、その主張事実の真否につき判断するまでもなく失当である。

よつて原告の請求を棄却することとし、民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 植村秀三)

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